淘宝(タオバオ)とは?
現在、中国の市場開拓で先行していた米国勢を後発の中国企業が抜き去るという“事件”が相次いで起きています。
その象徴が検索エンジンの「百度(バイドゥ)」とネット競売の「淘宝(タオバオ)」です。
淘宝(タオバオ)は、ネット上の企業間取引で世界最大手のアリババが2003年に設立しました。
売り手と買い手がチャットで商談できる仕組みや、取引の安全性を高めた電子決済サービスなどが支持され、先行した米イーベイをわずか3年で追い抜き、2006年の市場シェア(総売買額)は48.1%で、イーベイ(25.6%)をさらに引き離しました。
中国におけるネットショッピングは、2005年から2006年にかけて都市部を中心に急激に普及してきました。 2008年9月18日に、中国の大手 IT マーケティングリサーチ企業であるアイリサーチ(iResearch)と、アジア最大のインターネットショッピングサイト「淘宝網(タオバオワン)」が共同で発表した「2008上半期インターネットショッピング市場発展報告」によると、今年上半期、中国国内のインターネットショッピング取引額は531億5,000万元におよび、2007年通年の561億元に迫りました。
また、昨年2010年ではユーザー数が2億人を超え取引総額が 5兆円 店舗数が楽天市場の約70倍にもあたる250万店舗を達成。現在も1日4000万IPもの訪問者数が訪れるアジアだけではなく世界有数のオンラインマーケットとなりました。
急成長している中国のネットショッピング市場を語るには、全体利用者数の85.1%を占めている淘宝網抜きには考えられないでしょう。
淘宝網は56.3%の市場シェア、57.3%の高ロイヤリティで圧倒的な優位性を示しています。
では、なぜ淘宝網(タオバオ ワン)はこんなに熱いのか。
それは淘宝網(タオバオ ワン)が100%中国ローカル企業であり、しっかり中国消費者の心理と購買習慣を掴んだからと考えられます。淘宝網成功のポイントは次の3点にあると考えられます。
1.支付宝(Alipay)の使用
淘宝網(タオバオ ワン)をはじめ、中国のネットショップでは「支付宝(Alipay)」というシステムが使われている場合が多い。 「支付宝」は買い手と売り手の間にある仮想口座のような存在です。
●買い手は商品を購入後、商品代金を直接売り手に支払うではなく、まず支付宝に預ける。
●支付宝は、入金があったことを売り手に伝え、売り手は商品を発送する。
●買い手は商品を受け取り、商品に問題がないことを確認した後、支付宝に代金を売り手に支払うよう連絡する。
●もし商品に問題があって返品した場合は、支付宝から買い手に商品代金が返還される。
ネットでの買い物は顔が見えない取引のため、特に支払いにおいて、最も中国でのネット販売のボルトネックと考えられていました。
「支付宝」の登場は安心・安全にネットショッピングできる環境を提供し、多くの消費者にネットショッピングの第一歩を踏み出させたと言えるでしょう。
2.チャットツール“旺旺”導入
中国人の消費習慣として、売り手と買い手のコミュニケーションが重要です。
スーパー、自動販売機以外に、何の情報交換もなく物を買うという光景はほとんど見られません。
一方通行になりがちなネットという仮想の世界で、中国人に買い物させるのは大変に難しいのです。
そこで、淘宝網がオンラインチャットツール“旺旺”を導入しました。
旺旺を通じて、買い手と売り手は取引の前後に自由にチャットができます。
写真でしか判断できない商品に対して問い合わせたり、値引きしたり、いろんなコミュニケーションができる。元々顔の見えない仮想の世界で、このチャットツールはリアルタイムの双方向コミュニケーションを通じ、リアルの買い物と同様の楽しみを提供しました。
もちろん弊社では、現地スタッフによる買い手側とのリアルなやりとりが可能です。
3.独特のチャンネル分け
淘宝網では、通常の商品カテゴリー別のチャンネル分けがありますが、
それ以外に「男」と「女」という2つの独特のチャンネルがあります。ネットショッピングをする人のすべてが、自分が何を買いたいのかを明確にしているわけではありません。
中にはウィンドウショッピングのような感覚でショッピングサイトに来ている人も相当数います。
淘宝網の「男」と「女」チャンネルでは、男女別に世の中の流行、ファッション、芸能、娯楽、健康、ホビーなど様々な最新情報を入手することができるため、消費のチャンスを広げ、ネットショッピングの楽しさがより一層高まったといえるでしょう。
日本国内消費市場が減少する一方で、中国など新興国の成長から目を離せません。
特に海外向けのネット通販という低コスト、低リスクの市場拡大手法は益々注目されています。